お知らせ

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2025.10.30

「闇バイト」の危険性を自分ごとで学ぶ — 体験型プログラム「レイの失踪」—

  10月30日(木)、文部科学省の「令和7年度 高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」採択の本校では、インターネット社会における防犯意識の向上を目的に、若年層を狙う「闇バイト」の危険性を追体験できる教育プログラム「レイの失踪」を特別授業として行いました。近年、SNSや求人サイトなどを通じて若者を誘惑し、特殊詐欺や強盗などの凶悪犯罪に加担させる「闇バイト」が社会的な問題となり、その被害と加担者の若年化が深刻です。闇バイト関連の逮捕者のうち約8割を10代・20代の若者が占め、啓陽生にとっても決して他人事ではありません。しかし、これまでのような口頭による一方的な注意喚起だけでは当事者である生徒に、その「危険の認知」が行き届かず、最新手口に対応した教材も不足しているというのが実情でした。
 こうした現状から、本校では、「闇バイトを自分ごととして体験できる新しい教材」 として、慶應義塾大学の学生らが起業、開発した最新の体験型教育プログラムを導入・実施しました。このプログラムの画期的な取組みは、メディアからも注目され、当日は、毎日新聞、読売新聞、NHK地方ニュース の取材も入り、高い関心が寄せられました。
 プログラムを通じて生徒は、短時間、高収入などの甘い言葉の裏にある「危険を見抜く力」、SNSでの何気ない毎日の投稿が、脅しの道具となる仕組みを理解する「個人情報を扱う知識」、そして、危険な状況に直面した場合の「最適な対処法や専門的な相談先」について学びました。中でも「闇バイト」に係る恐怖や罪悪感を抱き、「一人で抱え込むことは、何よりも避けるべきだ」ということを強調して教授しました。また、このプログラムは、従来の「大人が先頭に立ち、大人が選り分け判別した危険には近づいてはならない」という、ただ与えられるだけだった一方的な警告を超え、生徒が、「危険とは何かを自分の目で見て、頭で考えて判断する力」を養えるものです。 
 この日、一緒に受講した教員からは、「普段の生徒には、あまり見られなかったような、指示がなくともドンドン進んでいく自主性と高い集中力があった」、「情報を見分け、『これが自分の考えた正解だ』と自信を持って判断し、警察に電話をかけるという『思考するための材料集め、材料を元に判断し実践する』ところまでを目の当たりにし、成長を感じられた」 と、当プログラムの効果を高く評価する声が聞かれました。本校では、今後もこうした体験的授業を重視してSNS関連の他、社会を安全に、また主体的に生きていくための実践的な情報リテラシー教育を行ってまいります。